Trash and No Star

本、時々映画、まれに音楽。沖縄、フェミニズム、アメリカ黒人史などを中心に。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

新垣譲『インタビュー 東京の沖縄人』書評|寄せては返す、東京の沖縄

シンプルなタイトルだが、読み取れる含意が二つある。一つは、沖縄人(ウチナーンチュ)というアイデンティティがあること。もう一つは、沖縄人は東京で暮らしていても沖縄人だということだ。 雑誌『ワンダー』連載時のタイトルは「聞き書き 東京の沖縄人」…

村上春樹『意味がなければスイングはない』書評|音楽と人生、あるいは村上春樹のベストワン

音楽を「深く聴く」とは、どんなことだろうか。あるいは、音楽の「意味」とはなんだろうか。そんな大きな問いに真正面から答える代わりに、私はこの本の存在を挙げたい。短編までくまなく読んでいる、というレベルの読者ではないが、それでも言わせてもらう…

『反逆の神話〔新版〕──「反体制」はカネになる』書評|カウンターカルチャー自省録

オルタナティブの追求を諦め、カウンターカルチャー的な思考を卒業し、大衆と和解せよ。そして本当の意味で、社会を変えよ。これが本書に込められたメッセージである。他には何もない。「カウンターカルチャーとは単なる現実逃避である」というのが、本書の…