The Bookend

本、時々映画、まれに音楽。沖縄、フェミニズム、アメリカ黒人史などを中心に。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

Awich『Queendom』音楽評|ラッパーと地元(沖縄篇②)

「This is my revenge」と、2020年のミニ・アルバム『Partition』からの再録でもある「Revenge」で、Awichは何度も繰り返している。躊躇いを感じる、というほどではないが、冒頭の3曲で強調されたアルバム全体の挑発的なトーンと比べると随分と控えめな発声…

アケミ・ジョンソン『アメリカンビレッジの夜―基地の町・沖縄に生きる女たち』書評|どっちつかずの現実から目をそらさないために

有刺鉄線のフェンス。その向こう側に広がる、沖縄の中のアメリカ。ならば、こちら側はアメリカの辺境としての沖縄だろうか。しばしば両者を媒介する、地元女性と米兵との恋愛――それは、ある種の沖縄現代史が半ば意図的に見落としてきたものかもしれない。フ…