【ジェンダー】
有刺鉄線のフェンス。その向こう側に広がる、沖縄の中のアメリカ。ならば、こちら側はアメリカの辺境としての沖縄だろうか。しばしば両者を媒介する、地元女性と米兵との恋愛――それは、ある種の沖縄現代史が半ば意図的に見落としてきたものかもしれない。フ…
この国で、女の子として育ち、生きるということ。そして、この国で、女の子を育てるということ。それがこんなにも、ハードなことだとは思わなかった。ウンザリするようなニュースの山、山、山。その気付きは同時に、自分がこれまで出会ってきた女性たち全員…
書き出しから、著者の悩みは深い。1週間の野宿を含むハードな調査を覚悟する一方で、「研究という目的がある限り、しょせんは彼女たちを自分の調査の道具にしようとしているにすぎない」という思いが、著者を迷わせていた。 その迷いを反映するように、本書…
苦闘の書だ。著者、上野千鶴子の1990年代は、いわゆる「慰安婦問題」に捧げられている。本書はその総決算なのだが、達成感らしきものはどこにもない。 本書が戦いを挑んでいるのは、「ただひとつの真実」、「決定版の歴史」を求める人々の欲望である。端的に…
岩波から出ている上野千鶴子の学術本かあ、と怯むことなかれ。特に社会科学の訓練を受けたことのない筆者でも読み通すことができたのだから、さしあたり必要なのは問題意識である、と言っておきたい。 筆者の場合、それは「妻との育児・家事分担」であった。…