1000字書評ブログ “Trash and No Star”

字数制限1000字での書評ブログです。月に2度の更新が目標。好き嫌いにかかわらず、読んだ本はすべて書評します。

【国内文学】

マイク・モラスキー『占領の記憶 記憶の占領』書評|沖縄 日本 アメリカ──占領とは何だったのか

「占領」という言葉に含まれた暴力性について考える。その言葉が意味するところの実際の光景や、その場を支配していたはずの絶望や緊張を想像しようとする。「占領」があるからには、その前に戦争があり、「敗戦」という形での終結がある。戦争の一部であり…

目取真俊『眼の奥の森』書評|死者は沈黙の彼方に

この救いのない物語をいったいどのように受けとめたらいいのか、見当もつかないまま最後のページをめくり終える。ラース・フォン・トリアーの映画のよう、と言えば、伝わる人には伝わるかもしれない。苛烈で、執拗なまでの暴力描写がもたらす閉塞感と没入感…

村上春樹『女のいない男たち』書評|Some Girls、あるいは長いお別れ

「まえがき」があることにまず驚く。こんなに慎重な作家だったろうかと思うほど親切な自著解題から入る本書は、著者の言葉を額面どおりに受け取れば、「いろんな事情で女性に去られてしまった男たち、あるいは去られようとしている男たち」についての、コン…

目取真俊『虹の鳥』書評|海を受け取ってしまったあとに(11)

冒頭、ひとりの少女が車に乗り込み、運転手の男に行き先を告げる。素っ気ないその口ぶりからは、恋人や友人といった関係を思わせるような親密さは微塵も感じられず、かと言って、タクシーの乗客と運転手の間に形成される束の間の連帯感さえ、ない。 まだ17歳…

真藤順丈『宝島』書評|THERE'S A RIOT GOIN' ON

戦後の沖縄が強いられた抵抗の歴史を、ひとつの大きな精神史として語りなおすこと。戦後から施政権返還までの沖縄で経験された実際の歴史を、あえて偽物の歴史として語りなおすこと。本作で直木賞作家となった著者が、どのような思いでこの541ページに及ぶ大…

桐野夏生『メタボラ』書評|はなればなれに

二人の男が出会い、別れるまでの刹那。本書は、少なくともその意味において青春小説と呼ぶことができるだろう。一人は記憶喪失、もう一人は家出という、小説的としか言いようのない状態で闇夜を逃げ惑う二人が、沖縄北部、やんばると呼ばれる山奥で事故のよ…