ふと、沖縄に対する自分の関心というのは、素直じゃないんだろうなあ、と思うことがある。お前、ついこの間まで、『るるぶ』的な世界にいたじゃないかと。
だからこそ、コアの部分を早く理解しなければと思う一方で、なんだか裏口入学しているような、妙な居心地の悪さがあるのも事実である。
普通に、160の島々から構成される、日本で唯一の亜熱帯としての沖縄「も」知りたいし、沖縄の暮らしや音楽などの文化、その温度感みたいなもの「も」ちゃんと知りたいと思った。
本書は、画家・名嘉睦稔が中心となった対談集で、大きく分けて、前半はりんけんバンドのリーダー・照屋林賢と、後半は沖縄平和ガイドネットワーク代表・村上有慶氏との対談となっている。音楽はもちろん、ウチナーグチ(沖縄語)、沖縄料理、エイサー、沖縄タイムといった身近なテーマから、戦争や基地といった重めのテーマまで幅広い。
対談という性質上、何かが体系的に提示されるわけではないが、「沖縄タイムス」の編集委員らが担当する23のコラムがそれを補完している。さらに、対談の合間、編集部の人が良い味を出していて、「日常的に沖縄料理を食べているんですか」とか、これ聞いちゃうと恥ずかしいかなあ、というところまで読者に代わって聞いてくれており、ありがたかった。
ぼくは東京の都立高校を出ていますから、沖縄が日本だとまったく習っていなかった。だから、沖縄がどんな風土で、どんな歴史を持っているかなんて、ぜんぜん知らないわけでしょ。
これは、東京の大学で初めて沖縄を知り、卒業後、沖縄に移り住み、ボランティアでガマなどを案内する平和ガイドとなった村上氏の言葉である。『日本にとって沖縄とは何か』に書かれていた、「敗戦以来、沖縄はまったくの”忘れられた島”であった」という一文は、言葉そのものの意味だったのかと思い至り、ハッとさせられた。
一方、名嘉氏の口からは、「構造的な問題」という言葉が繰り返されると同時に、 「人からもらうことばかりでやろうとする沖縄の体質よ」という自己批判も飛び出す。こうした語りをどのように受け取ればいいのか、私にはまだ分からない。
あるいは、こういう文化人らにも特別視されるエイサーって、沖縄の人たちにとって何なんだろうとか、答えではなく、追加の疑問をいくつかもらった感じだ。語り手を変えて、同じテーマでリイシューされたら面白いかもしれない。
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