Trash and No Star

本、時々映画、まれに音楽のレビューブログ。沖縄、フェミニズム、アメリカ黒人史などを中心に。

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョージ・ミラー監督『マッドマックス:フュリオサ』映画評|愛、逃走、あるいは映画の敗北について

(画像は公式サイトから) もちろん、それほど悪い映画ではない。 あの『怒りのデス・ロード』において神話的クーデターを成し遂げた女性兵士・フュリオサが、そもそもなぜ、水と緑にあふれた生まれ故郷を離れ、イモータン・ジョーが支配する独裁国家の軍幹部…

蓮實重彦『映画の神話学』書評|映画とは、いわば不自由の同義語である

つまりは、こういうことだ。映画とは、小説や脚本を映像化しただけの「動く物語」などでは断じてなく、だから「ネタ」をばらす/ばらさないといったレベルで議論しうるものであるはずもなく、ただひたすらに「運動」であると。 では、この場合の「運動」とは…

ジョージ・ミラー監督『マッドマックス 怒りのデス・ロード』映画評|The Best Movie of the last Decade

(画像は公式Twitterから) 何度観直してみても、この「過剰なまでの単純さ」に惚れ惚れしてしまう。惚れ惚れというか、実際はエンドロールが流れる画面の前でただ茫然としているだけなのだが。 この衝撃は、初めて劇場で観た時から少しも変わらない。あれか…