打越正行
ほとんど奇跡のように存在し、なかば事故のように分厚いこの書物を先ほど読み終えた。読み終えた、という言い方が正しいかどうかさえ、正直よく分からない。ある意味では「聞き終えた」とも言えるし、「語り終えた」とさえ言えるかもしれない。 それどころか…
「癒しの沖縄」といったラベリングや、「助け合う沖縄」「抵抗する沖縄」といった理想化を回避し、沖縄が、そこに暮らす人々にとって「さまざまであること」を描くこと。内地と沖縄を隔てる境界線を境界線と認めつつ、内地の人間として、境界線の「向こう側…
これもまた、青い海や青い空が眠った後の沖縄についての本だ。ちょうど、上間陽子の『裸足で逃げる』がそうだったように。改造されたバイクのテールランプだけが、男たちの行く先を照らしている。 著者にとって社会とは、人間である。社会は、人に「生きられ…