1000字書評ブログ “Trash and No Star”

字数制限1000字での書評ブログです。月に2度の更新が目標。好き嫌いにかかわらず、読んだ本はすべて書評します。

〔筑摩書房〕

筒井淳也『社会を知るためには』書評|「意図せざる結果」に満ちた、なんだかよくわからない社会で

社会学の勉強なんてしたことがないのに、それっぽい言葉をつい使いたくなってしまうのは、多くの理論が「自然言語」によって構成される社会学という学問が、「これなら自分でも語れそう」と勘違いさせてくれるからだろう。 しかし当たり前だが、社会学者が使…

宮台真司『終わりなき日常を生きろ』書評|「1995年」の診断書、としてではなく

およそ10年ぶりの再読。最初に読んだ時は、「終わりなき日常」や「さまよえる良心」といった言葉の強さに惑わされる一方で、社会があっという間に「診断」され、問題の解決策が「処方」されるまでの圧の強さ、他者に対する断定的なフレーミングへの拒否感が…

梁 英聖『レイシズムとは何か』書評|レイシズムは社会を破壊する

10年ほど前だろうか、渋谷駅前で初めてヘイトスピーチの現場に出くわした時、こんなことが公共の場で許されるのかと衝撃を受けた。まさに、ラッパー・ECDが「こんな世界があっていいわけがねー」とラップしたとおりだった。 しかし、私はそこで終わってし…

打越正行『ヤンキーと地元』書評|「癒しの沖縄」から切り離された世界で

これもまた、青い海や青い空が眠った後の沖縄についての本だ。ちょうど、上間陽子の『裸足で逃げる』がそうだったように。改造されたバイクのテールランプだけが、男たちの行く先を照らしている。 著者にとって社会とは、人間である。社会は、人に「生きられ…

『海をあげる』書評|今度こそ、私たちが上間陽子の話を聞く番だ

それはとても迷いながら書かれた本のように思えた。上間陽子の『裸足で逃げる』のことだ。沖縄の風俗業界で働く女性たちの聞き取り調査を、何本かの物語として切り出したものだが、告発に乗り出す正義感とはまったく異なる熱量で、それは書かれていた。 著者…

鶴見俊輔『文章心得帖』書評|「紋切り型は嫌だ」という紋切り型

気の利いた、洒落た文章が好きだ。風流な表現があればつい真似して使ってしまうし、ありふれた表現はできる限り避けたい。村上春樹の小説に、ケルアックの小説を線を引きながら読んでる女の子が出てくるが、あれは私のことだ。 内容なんてろくに読んじゃいな…