藤井誠二
正直、よくわからなかった。一つ一つの作品について言っているのではない。10篇の小説やノンフィクションから成るコンピレーション作品としての狙いが、よくわからなかったのだ。 岡本尚文氏の写真が使用されたカバーはそれ自体が物語的であり、詩的ですらあ…
「沖縄」という一点のみでつながった、47人分のポートレート。いい意味でラフというか、この47人に何かを代表させたり、沖縄の何かを要約させたり、そういった作為を感じないのがいい。読者はほんの束の間、47人の人生の内側に触れ、また離れていく。その繰…
「沖縄問題の半分は沖縄人の責任でもあって、それを沖縄人自身が自覚しないと、多くのことは解決できないだろうと思います」という宮台の発言に本書の意図は凝縮されている。読者の反応を試すようだが、しかしこれ自体、宮台の言う〈感情の釣り〉そのもので…