Trash and No Star

本、時々映画、まれに音楽。沖縄、フェミニズム、アメリカ黒人史などを中心に。

〔白水社〕

サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』書評|演劇が終わっても人生は続く

二人の男が、「ゴドー」なる人物を待っている。一本の木の前で、土曜日に待ち合わせ、という約束になっていた。しかし、ゴドーは一向に現れない。いつまで待ってもやってこない。 次第に二人は、昨日もここに来て、こうして同じように待っていたような気がし…

佐藤良明監修『ラップという現象』書評|特集「ロング・ホット・サマー」9冊目

相当、アイロニカルな本だ。白人のインテリ二人組による、ヒップホップ・シーンに関するルポというかエッセイなのだが、新しい文化の只中にいる興奮よりも、白人であることの後ろめたさが勝っている。 本書の原著が出た1990年当時、いまだ現在進行形の「現象…