Trash and No Star

本、時々映画、まれに音楽。沖縄、フェミニズム、アメリカ黒人史などを中心に。

〔角川書店〕

スコット・フィッツジェラルド『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』書評|まずは貴重な訳出に感謝を

2009年刊行。デビッド・フィンチャーによる表題作の映画化にあわせた出版ではあるが、山っ気はなく、あとがきにもあるように、「いままで日本であまり語られてこなかった、ミステリーやファンタジーにおけるフィッツジェラルドの作品をまとめられないか」と…

仲宗根政善『ひめゆりの塔をめぐる人々の手記』書評|生き延びてしまったことの奇跡を肯定する

名著である。すでに広く読まれ、世に多く流通していることをいいことに古本で済ませてしまったが、失敗だった。『きけ わだつみのこえ』などと同じような規模で、これからも読み継がれていくべき一冊である。 もっとも、「まえがき」でひめゆり学徒隊の消費…