〔河出書房新社〕
まずは書き出しの一文だ。黒人に対する差別意識の表象とも言える、身体性ばかりが強調された動物の比喩や人種的なステレオタイプ*1に満ちた表現――「ココアを混ぜたような肌」「悪魔じみた目」「黒豹みたいな手足」――が著者の側から連打される。 これがパロデ…
内容は想像以上に雑多。聞き書きそのものから、対談、エッセイ、論考など、形式もバラバラなら書き手の立場も様々だ。しかし、あくまで特集のタイトルに固執するなら、この問いに真正面から答えているものは案外少ないように感じた。 聞き書き、だからこそ。…
人生は一回で、後戻りできない。その残酷さ。そして、その横を淡々と流れていく「時間」のさらなる残酷さ、そのようなものが感じられる。文章そのものが、止まることのない「時間」みたいだ。とにかく寂しい本だった。 ラッパー、ECD。 3年前の今日、亡…